【クリアレビュー】Fate/Samurai Remnant

Fate/Samurai Remnantのクリアレビューとなります。

PS5版、プレイ時間は40時間ほどで一周目クリア時点でのレビューです。

いやぁ~、これ良くできてますよ、ほんとに。

がっつりFateファンというわけではないんですが、バディものが好きで手に取ってみたらすっかり夢中になりました。

 

無双シリーズに近い爽快感あるアクション

本作はアクションRPGですが、アクションの方向性としては無双系が近いと思います。最初は単なるキャラゲーと侮っていましたが、コーエーテクモが無双系で培った爽快感ある演出、操作感がFateの世界観に良く落とし込まれており、シンプルにアクションゲームとして出来が良く驚かされました。

戦闘のバランスとしては、細かな戦略を求められるというよりは、タイミングを見て派手な大技を繰り出す演出面寄りのバランスとなっています。このいい意味で大味で難しすぎないバランスは、Fateファンが必ずしもアクションゲームファンとは限らないことを思うといい塩梅かと思いました。

また本作では主人公である宮本伊織の戦闘の型に様々なバリエーションがあったり、セイバーだけでなく、はぐれのサーバントも使用可能なので、大味な戦闘バランスながら終盤まで飽きさせない工夫を感じました。

終盤使えるようになる空の型がちと強すぎたり、サーバントによって使いやすで明暗が分かれていたりと、多少荒削りな部分はありますが、ゲームプレイ中、終始、戦闘を楽しみに感じてしまうくらい触り心地はよかったです。

 

設定そのものの面白さを生かした間口の広いストーリー

上述のようにアクション面で非常に間口を広げているように感じる本作ですが、ストーリーやキャラクターにおいても同様に感じました。

私自身、Fateに初めて触れたのはステイナイトで、ドロドロしたストーリー展開やえげつないキャラ、演出等で、当初、一定の敷居の高さのようなものは感じたのを覚えています。めちゃくちゃ面白いけど万人にはおすすめし難いといいますか(もともとが成人向けゲームなのでそりゃそうなのですが)。

ただ本作については、少なくとも一周目に関しては、そういった敷居の高さは感じませんでした。根幹がバトルロワイヤル系且つバディものという面白いに決まっている設定なので、変に奇をてらうことなく、真正面から描いており、Fateをよく知らない単にアクションゲームファンの人でも楽しめるのではないかと思います。比較的シンプルなストーリー展開ではありますが、描き方が非常に丁寧で陳腐さは感じず、アクションゲームとしての側面も邪魔していなかったので、私はこれくらいのバランスで本作は正解だったと思います。

 

バディものって本当に素晴らしいものですね

本作はRPGゲームとしては、非常にシンプルで真新しいシステムも特にありません。それでいて一周に大体40時間かかるので、それだけ聞くと、アクション以外の時間はかなり退屈なのではないかと心配になるでしょう。

ただ私は道中も退屈には感じず、クリアまでの時間すべてがとても愛おしく思いました。

それはひとえに本作がこのゲームが持つバディものとしての側面を真摯に受け止め、その点について妥協せず、丁寧に作りこんでくれたおかげだと思います。

道中、主人公のバディにあたるセイバーはいろいろな顔を見せてくれます。食べ物屋の近くではおなかが減ったとアピールしてきて、何か買ってあげたら感想も言ってくれる。狭い路地裏を通るときは向こうで手を振ってくれていたり、犬や猫をなでるときは一緒になってはしゃいだり。

なんてことはないですがこういった細かい所作と、しっかり作りこまれたモーションや表情が合わさって、ゲーム体験に対して無機質さのようなものを一切感じず、二人の行く道中を心から楽しめました。

上述の通り、ストーリー自体は奇をてらったものではありませんが、その過程こそに愛おしさを感じることができたので、結果として、非常に特別なゲーム体験となりました。

 

総論

作り手の愛にあふれた一作だと思います。

単に無双系アクションゲームとしてよくできているだけでなく、キャラゲーの枠にとらわれず細かい点までこだわって作られていることが伝わってきます。アクションRPGゲームは幾多もあるかと思いますが、そこにバディものというジャンルが加わる本作でしか味わえない体験があるかと。

ぜひ手に取ってみてください。